ウェブマーケティングのアンテナ 「スマートフォン 」の記事

「モバイルファースト」を意識したビジネス戦略が重要に

「モバイルファースト」を意識したビジネス戦略が重要に

スポンシブWebデザインは、一つのWebサイトでPCはもちろん、あらゆるモバイル端末に対応しようという合理的な考え方に基づいている。コンテンツを同じサーバで管理できるため、情報の更新がしやすいなどのメリットがあり、モバイル端末に対応したサイトを構築するための有力な選択肢の一つだ。しかしながら、レスポンシブWebデザインは従来のPC向けWebサイトを前提とした考え方であることは否めない。本来、PCサイトとモバイルサイトでは、利用者が求めるコンテンツもアクセスするシーンや状況も異なるはずである。

レスポンシブWebデザインとは逆に、Webサイトを構築する際に、モバイル端末からの閲覧を想定してモバイルサイトの設計から着手する「モバイルファースト」という考え方も有力になりつつある。モバイルファーストとは、アメリカのインタラクションデザイナーLuke Wroblewski氏が2009年に提唱したとされるサイトの設計思想のこと。最小限必要な情報や機能を決めてまずモバイルサイトを設計して、その後に機能を付け加えていってPC向けWebサイトにすることを基本に置いている。

モバイルファーストの概念はシンプルであるが、モバイルサイトを先に設計する際に悩むのが、Webとアプリの役割分担である。モバイル端末への情報提供はアプリ中心になり、Webサイトに毎回アクセスしてもらう必要はなくなる、と予想する人も少なくない。実際のところ、モバイル端末からの利用がアプリ中心になるのか、Webとの併用になるのかは、アメリカの専門家の間でも意見が分かれている。前述のLuke Wroblewski氏は自著「Mobile First」の中で、「Webとアプリは相互補完できるので、可能なら併用した方がいい」と書いている。

日本では、ガラケーともフィーチャーフォンとも表現される従来の高機能携帯電話の存在も無視できない。近い将来、スマートフォンとガラケーは一体化して日本独自仕様のスマートフォンに統一されると見る向きもあるが、ほとんど通話機能しかなかった携帯電話からスマートフォンに急速に移行しているアメリカなど海外市場とは事情が異なる点も考慮する必要があるだろう。

モバイルファーストという言葉は、「インターネットで提供するあらゆるアプリケーションやサービスについてもモバイルからの利用を第一に考えて開発すべき」という意味に解釈されるようになった。Googleのシュミット会長も、基調講演で「優れたベンダーはモバイルサービスから提供していく」と発言しており、ビジネスそのものの設計や戦略もモバイルファーストであるべきだ、という意味にも取れる。日本企業は、「自社のモバイルサイトはどうあるべきか」というよりも、「自社のビジネスやサービスをモバイルを通じてどう提供していくべきか」という大きな課題に真剣に向き合う時期に来ていると言える。

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